高校ダンス部の大会、踊る順番が前半、後半で審査に影響があるのか、

という問いに対して

それはまったくありません、という返答は

人間の認知心理学的に言うとまったく的を得ていないということになる。

コンテストで出場者の1番目から順番に点数をつけるならば、当然トップバッターは高得点にはなりにくくなるというのは自然の摂理である。

音楽のコンテストやスポーツの競技でも順番が審査に影響を与えることがさまざまな研究で報告済みである。

最初か最後かでパフォーマンスに対する評価に影響がある。

審査員は順番に点数化するので1番目が起点となり、そこからよかったか、そうでないか、で点数をつけざるを得ないので後半に向かって、点数は高くなるというバイアスがかかる。

係留と調整のバイアスとよばれる。

最初のつけた点数がのちのちの演技の評価に影響を与える、最初に降ろしたアンカー(碇)は重いということだ。

さて、今回のダンススタジアム近畿中国四国予選である。

ビッグクラスは、前半と後半に分かれて演技が行われた。3日間に渡り開催され、それぞれABCの3つのブロックから4校が全国大会に選出される。

合計12校。

そして3日間とも全てが後半に演技した学校が選出された。

12校すべてが後半に演技した学校である。前半からは0である。

たまたま偶然か。

ダンススタジアムという大会は出演する順番はくじで決めるということなのでランダムに順番は決定される。

今回は現在の社会情勢から前半と後半で、会場の出演者並びに観客を総入れ替えするので、30分ほどの休憩が入る。

前半が終わり、そしていよいよ後半が始まるという体が予想される。

もちろんぶっちぎればよいだけの話ではある。後半有利のバイアスなど吹き飛ばせばよい。ダントツのダンスを踊るだけだ。これまでもそうしてきたし、これからもそうする。

よいダンスは圧倒的によい。

それだけだ。

ちなみに関東の予選に置いても結果は顕著である。

全国大会進出校18校のうち、14校が後半から選ばれている。

もちろん認知バイアスは無意識で発生する。誰も後半に有利な採点などしていない。人間の行動にはそのようなバイアスがかかるということである。

このバイアスを自覚した上でやはりキャリブレーションを作動させるような仕組みは必要であろう。

つまりバイアスをできる限り低減させる知恵と工夫である。

審査に携わるものは係留のバイアスを自覚し、偏りを調整する。順番が評価に影響を与えるのだということをはっきりと認識するだけでも、その影響を緩和することができる。

大会の主催者はどのようにランダムに出場順を決定しているかを詳らかにし、少しでも不公平感や、不公正ではないかという不信を取り除く努力をすべきと考える。

高校3年間のすべてをかけて戦う部活のステージはそのように準備してもらいたい。

順番などという無意味なものに、大切な演技の評価が左右されることがないように。

我らの好機を逃すことがないように。